顧客体験をデザインする

こんにちは、ブランドデザイナー/ウェブデザイナーの佐野彰彦です。

デザインとは、仕組みをデザインすることに他ならない─。ウェブサイトやチラシや動画などを制作することよりも、上位の階層に位置する「仕組みづくり」こそがデザインの本質であることを前回、前々回とお伝えしてきました。今回は、株式会社それからデザインの最新事例でもある「TOKYO WINE PARTY」を取り上げ、仕組みをデザインするということはどういうことかについて、解説してみたいと思います。
 
 

カスタマージャーニーマップからブランド要素を抽出する

カスタマージャーニーマップとは、顧客がある製品を購入したり、サービスを利用する際の行動プロセスを「旅」に見立て地図のように可視化したものです。それからデザインでは、ブランド戦略フェーズにおいて、クライアントとともにこのカスタマージャーニーマップを作成し、各段階でのエンドユーザーの感情の動きを分析しながら、必要なブランド要素、適切なブランド体験を抽出していきます。
情報を探しているとき、製品やサービスに実際に触れたとき、比較検討をしているときなど、顧客の行動を切り分け、タッチポイントごとに適切な体験を導き出し、全体をストーリー化していくことを大切にしています。
 
 

想い+ポジショニングで、ブランドコンセプトを導き出す

ブランディングには明確なコンセプトが必要であることは、今さら言うまでもないと思います。では明確なコンセプトをつくるべく、私たちは2つのアプローチを行っています。ひとつは、ブランドオーナーの「想い」を徹底的に掘り下げること。なぜその製品・サービスなのか、なぜそれを世に知らしめたいのか、そのことによって社会をどのように変容させたいのかを、インタビューあるいはワークをしながら発見していきます。いわば、ブランドオーナーの心の内面への旅です。そしてもうひとつは、競合ブランドとの差異化、つまりポジショニングです。ここでは、直接競合と間接競合に分けて、他社を分析しながら、独自性の高い場所を探していく作業です。この2つをクリアにしていくことで、必然的に明確なコンセプトを導き出していきます。
TOKYO WINE PARTYの場合は、ワインパーティーという切り口からより自然な出会いを生み出すこと、良質で素敵な出会いから、仕事やプライベートにおける充実感を社会に作り出していきたいという想いが根底にあります。また、他のパーティーイベントや異業種交流会にはない、出会いたい人に出会える確率が高いコミュニティとしての機能があり、独自性の高いポジションを取っています。
 
 

顧客体験をデザインする

上記で紹介したカスタマージャーニーマップ、ブランドコンセプトは、ブランド戦略フェーズで行うことの一部分です。このようなステップを経て、顧客がブランドと接するポイントと、前後関係の行動を踏まえ、トータルデザインを行っていきます。具体的には、ウェブサイトでの情報収集、製品・サービスの実体験、アフター要素など、カスタマージャーニーマップに沿ったデザインストーリーを組み上げていきます。ひとつひとつのデザインは、何度もブランドコンセプトと照らし合わせながら、正しい表現であるかを熟慮しながら慎重にすすめていきます。

 

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ロゴ、ウェブサイト、会場装飾、配布物までを顧客体験に沿ってトータルデザインしている。

 
 

このような顧客体験中心のデザイン手法をUX(ユーザー・エクスペリエンス)と呼んだりもしますが、大切なことはロゴ、ウェブ、チラシというようなタッチポイントごとにデザインをつくるのではなく、全体をストーリー化し、顧客体験をデザインすることです。その一連の設計こそが、私たちのいう「ブランドデザイン」に他なりません。

2017-06-21 | Posted in デザインのこと, ブランディングのことComments Closed 

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