受託・下請けからの脱却

こんにちは、デザイナーの佐野彰彦です。

私たちは、日々ブランディングやウェブサイトについての相談を様々な企業からいただいていますが、そのきっかけにはいくつかのパターンが存在しています。代表的なものは3つあり、1つは既存事業の売上減や業界の斜陽化などからの回復目的、2つ目は経営者の代替わりや組織変更に伴うタイミングでの内部改革目的、3つ目は新規事業の立ち上げや新しいブランドをつくる挑戦目的です。どれもその企業にとっては非常に重要な事由であり、それだけブランディングやウェブに対する期待と重要性を認識される時代になりつつあるのだと日々実感しています。

その中で、それからデザインでは、中小企業のブランディングやウェブ制作に携わることが多く、3つ目の「新しいブランドをつくる挑戦目的」での相談が特に増えてきています。中小企業が新しいブランドをつくりたいと考える理由はほとんど共通していて、ひとことで言えば、「受託や下請けのビジネスモデルから脱却したい」ということに尽きます。大きく時代が動いていると実感する今、発注企業側の業績や、業界の景気に左右されやすい受託モデルではなく、自社事業、自社サービスに挑戦したいという企業心理が背景に見て取れます。

今回は、「受託・下請けからの脱却」と題し、受託企業が自社事業や自社ブランドをどのように発想し、挑戦していくべきかについて触れてみたいと思います。
 
 

受託事業と自社事業の違いとは?

まず、そもそも受託や下請けの事業と自社事業の違いとは何かについて理解しておく必要があります。私は「サービス・パッケージ」の有無だと考えています。受託事業は、発注企業から依頼を請けてから見積りや提案書を作成することが基本的な構造であるのに対し、自社事業はあらかじめパッケージされたサービス内容と価格を並べておくのが基本的な構造です。つまり、取引のはじめかたの順序が逆になります。自社事業をつくるということは、言い換えれば、先にサービス内容と価格を決定することになります。自社事業を成功させるためには、顧客にとって魅力があるサービス内容と価格を先につくることが必要条件です。
しかし一方で、受託事業に特化している企業は、長年発注企業側のニーズに応えることに注力してきたことから、エンドユーザーや一般生活者のニーズを直接捉えることが難しい傾向もあり、自社事業をどのように発想すればよいのか、どのように発信すればよいのか、手がかりがないままに模索している企業も多いというのが現状ではないでしょうか。
 
 

顧客ニーズを深く考察すれば、競合が変わる

新規事業や新規サービスで成否を大きく分けるのは「顧客ニーズを深く捉えることができるか」です。どんなに機能がすぐれていても、どんなに競合と差別化がなされていても、それを欲しいと想う人がいなければ、その事業は成功しないことは明らかです。欲しい人がいてはじめて売れていくのですから、どんな人がどんなモノやコトを欲しがっているのかを知ることを考えることが先決 です。顧客ニーズを知る方法は、様々ありますが、はじめやすいのは、既存事業のお客様にアンケートやインタビューをすることです。徹底的に顧客ニーズを深く掘ることができれば、どのようなサービスが求められるのかが自ずと見えてきます。このような手法をマーケット・インといいますが、成功の確率を高めるには、いきなりモノづくりからはじめるよりも、顧客調査を行うことからはじめるのがおすすめです。

そうすることで、戦う相手、つまり競合他社がガラッと変わるケースがあります。往々にして、受託事業に特化してきた企業は、特定の業界構造の中で視野が狭まっていることが多いものです。たとえば、ある商店街の中に2つのラーメン店があったとします。2店はお互いにライバルだと意識し競争していますが、顧客ニーズの視点で見ると、多くのお客さんはラーメンを食べると決めているわけではなく、この地域でおいしいランチを探しているだけにすぎないという場合があります。
このような顧客ニーズを捉えることができたなら、ラーメン店の競合は、ライバルのラーメン店ではなく、その地域らしいメニュー開発や店舗開発をしているカフェになるかもしれません。
 
 

デザインを自社事業に活かそう

デザインは、実は新規事業の立ち上げに、大いに役に立つものです。デザインというと、ロゴデザイン、ウェブデザイン、インテリアデザインなど、オシャレな装飾というイメージがあるかもしれませんが、それは一部です。ビジネスの戦略を組み立てるための考え方もデザインですし、たくさんのお客さんに気に入ってもらう新商品を考案することもデザインです。また、その新規事業を分かりやすく伝える仕組みづくりもデザインの大きな役割です。つまり、デザインには、機能的なデザインと装飾的なデザインがあり、これから自社事業に挑戦しようと考えている企業は、その両方ができるデザイン会社とタッグを組むことが大きな推進力になります。

11月7日(火)に、「自社サービス・自社ブランドのつくりかたと育てかた」という題のセミナーで、私が手掛けてきた事例を解説いたします。どの事例も今回ご紹介したように顧客ニーズを深く考察し、デザインを活用して成功している自社事業になります。ご期待くださいませ。
 
 

セミナー情報

2017年11月7日(火) 19:00〜
受託・下請けからの脱却「自社サービス・自社ブランドのつくりかたと育てかた」

2017-10-17 | Posted in ブランディングのことComments Closed 

関連記事