CIデザイニング

こんばんは、デザイナーの佐野彰彦です。
なんともいえぬやるせない長雨に、予定したいたことがことごとく流される週末。みなさんも同じようにもやもやしていると思いますが。

最近は週末ごとに1〜2冊の読書を進めています。で、今日はたびたび読み返している本を手に取っています。「CIデザイニング」。

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著者は、原田進さんというCIデザイナーの草分けのような存在の方です。CIとは説明は不要かとは思いますが、念のためひらいておきますと、「コーポレート・アイデンティティ」のこと。1980年代にビジネス界でCIブームが起こり、大手企業〜中堅企業の多くが、企業理念の明文化とともにロゴをはじめとしたデザインを経営に取り入れる動きが活発化しました。この本はデザインとビジネスの関係について、徹底的に本質をついていて、今のデザイナーにこそ必要な示唆と教養に溢れています。いきなり前書きがすごい。その一節には

“ビジネスマンとデザイナーは、これまで生きてきた世界が違うので、お互いの共通言語がありません。たとえば「ダサイ」という言葉はデザイナーの間では決定的な威力を持ちますが、ビジネスマンの世界では「儲かるか」ということと天秤にかけられ、ほとんど意味を持ちません。”

とあります。そして原田さんは、創造的問題解決、論理と感性の間を行き来しなくてはならないと説きます。

今、私は「ブランディング」という言葉をよく使って仕事をさせてもらっています。私にとって、デザインをするということは、まさにビジネスマンと対話し、二人三脚で共通の目的に向かっていくことです。

もうひとつ、この本のすごいところは、初版が1989年4月ということ。バブル経済のど真ん中。それからバブル崩壊、リーマンショック、大震災、アベノミクスなど、日本経済は大きな変化をしてきたにもかかわらず、その頃に書かれているこの本が、今もなお、ビジネスマンとデザイナーの間にある課題の本質であることに、深い感銘を受けます。
当時のCIブームさながら、今の時代はもしかしたら、「ブランディングブーム」なのかもしれません。多くの経営者が「ブランディング」という言葉を口にするようになりましたが、これを一時のムーブメントとして終わらせてはいけないのはもちろんのこと、原田さんがチャレンジしつづけてきたビジネスとデザインの間にある、小さいようで深い溝を埋めることこそが、私たちデザイナーの本当の役割であることを、今一度、学び直す必要があるように感じています。

ゆっくりと再読を進めていこうと思います。

2017-10-21 | Posted in デザインのことComments Closed 

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