編集という仕事 / 「経営者のためのウェブブランディングの教科書」の制作過程その1

本日、私の2冊目の著書「経営者のためのウェブブランディングの教科書」が発売されました。昨年の4月から幻冬舎の敏腕編集者である吉田さん主導の元、企画会議がはじまり、隔週ペースで濃密な打ち合わせをしながら、章立てが決まったのが7月下旬ごろだったでしょうか。
1回目か2回目の打ち合わせのときに、編集の吉田さんが、「今回は、佐野さんの仕事術とか、脳内がどうなっているのかを紐解くような本にしましょう」というようなことをおっしゃいました。私自身は、自分の仕事スタイルや頭の中で思考していることが面白いコンテンツになるのだろうか、といささか不安な気持ちもあったわけですが、そこは前作でも担当してもらった吉田さんのことですからきっと大丈夫なのだろうと、すっかり信頼してしまっている私も同時にそこにいたわけです。
私自身も普段は、クライアントと直接膝を突き合わせて、何度も打ち合わせを繰り返すような仕事をしていますので、著者を相手にする書籍編集という仕事がとてもハードで難儀な仕事であることはよくわかります。
特に、私のような一見人当たりがよいように見えて実はかなりこだわりの強い人間がクライアントの場合は、とても難しい案件になることは重々承知なのです(笑)。

結果として、1冊目の「ウェブ担当者1年目の教科書」の時以上に、吉田さんの苦労は大きかったのではないかと思います。そもそも、本当は2014年中に出る予定だったのです…。私の遅筆っぷりに拍車がかかり、何度もリスケジュールをさせてしまいました。
この場をお借りしまして根気強くお付き合いいただけたこと、改めて感謝している次第です。このような場で言うことではないので、ご本人に改めてお礼をしようと思っております。

「経営者のためのウェブブランディングの教科書」の制作過程では、様々な試みをいたしました。まずは、企業ブランディングというものを私自身がどのように考え、どのように企画やデザインをつくってきたのかを、徹底的に洗い出すことです。過去の自分と何度も向き合いました。上手く行ったことといかなかったこと、成果が出ているウェブサイトと思ったより苦戦しているウェブサイト、関係性が継続しているクライアントと途絶えてしまったクライアント、自分で気に入っているデザインとしっくり来ていないデザイン、その他もろもろ非常にたくさんのアングルから、自己分析をすることからはじめました。これくらいの自己分析を学生時代にしていたら、きっともっと有利な就職活動ができたのだろうと反省もしました。
過去のプレゼン資料や、実際に提案に使った企画書なども、ほとんどすべて振り返ったと思います。10年以上前の自分のつくったデザインは、なんとも言えない青臭さと、詰めの甘さがあって、「ああ、自分もそれなりに経験を積んできたんだなぁ」という感慨に浸るなどの脱線を繰り返す日々。

一方で、吉田さんから「それからデザインの他のスタッフに話を聞きたい」というようなオファーがありました。企画を立てるときに佐野はどんなことを考えていると思うか、デザインをつくっているときはどうか、普段の仕事ぶりはまじめかどうか、などを佐野のいないときに、スタッフと話をしてみたい、というのです。
そして、その「佐野を祭り上げるミーティング」は実際に行われました。佐野の不在時に行われましたので、どんな話をしたのかは、私は今現在でも知りません。

そんなことを繰り返す中で、吉田さんから章立て案のたたき台が上がってきたのが7月だったと思います。書籍のテーマが「企業ブランディング」というのは、ある程度決まっていたのですが、筋の通ったブレのない章立て案を見て、「ああ、いよいよ執筆が始まるのだ」という武者震いがありました。そして、あたり前のことだけど、調査や分析をしっかり踏まえて企画を練ることの重要性を再認識したのです。
編集という仕事は、変数が多いものです。著者の能力や性格によっても担当範囲が大きく変わる上、「本をつくる」ということにおいて必要な作業の一切合切を担当しなくてはなりません。もちろん私の本だけを担当するわけではありませんので、同時に何人もの著者とやりとりをするタフさも求められます。にもかかわらず、編集者の名前というのはあまり表舞台には出てこないものなのです。

実際に執筆するのはもちろん著者である私ですので、「だいたいな感じで企画しましたので、あとは執筆よろしく!」という感じで、丸っと投げてしまうこともきっとやろうと思えばできたはずです。しかし、1冊目同様、今回も吉田さんの仕事ぶりは情熱的でした。それがあったからこそ、この本は成立したと思います。

いいものを創りたい─。

その想いを共有できることが、すべてをいい方向へ導くのだということを、書籍づくりを通じて、逆に私が学ばせていただきました。

…少し長くなったので、次回につづきます。

2015-02-27 | Posted in 散文のようなものComments Closed 

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