文脈を伝える

昨年の11月から、だいたい2ヶ月に1回くらいのペースで、「つながないDJナイト」というイベントを始めている。毎回、テーマを決めて、それについてうんちくを語りながら曲をかけて楽しむ、というもので、今回はもう5回目。

ブリットポップ、ネオアコ、ギターポップ等、90年代のイギリスの音楽シーンを中心にやっていたのだが、今回、初めて単独アーティスト縛りで、「サニーデイ・サービス」をテーマに据えてみた。

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サニーデイ・サービスについては、もう一晩では語り尽くせないほどのプライベートなエピソードがある。そもそも、私は、大げさではなく、サニーデイ・サービスというバンドがこの世になかったら、妻とも出会っていなかった。実は、私と妻との出会いは、サニーデイ・サービスのファン同士の集いのようなところだった。

そして話せば長くなりすぎるので割愛するが、実は、今年の5月に亡くなってしまったサニーデイ・サービスのドラマーの丸山晴茂さんとは、一度一緒にバンドをやったことがあり、私にとってはもうそれは大変貴重な体験として、今も胸に焼き付いている。そのくだりについては、過去に書いた以下の記事を参照ください。
Ride, Ride Blue Trainのこと

そんなこんなで、この「つながないDJナイト」というイベントで、サニーデイ・サービスをテーマにすることは、自分にとっては少し勇気のいることでもあった。一定の距離感がないと、音楽を語るのは難しいような気もするから。でも、やるなら今なのかな、という思いがなぜか湧いてきて。

結果としては、やっぱりやってよかったと思う。1stアルバム「若者たち」からあらためて聞き直して、獅子文六さんの小説「コーヒーと恋愛」を読み返して、ムッシュかまやつさんの「ゴロワーズを吸ったことはあるかい?」に飛び、LOVE ALBUMはやっぱり素晴らしいクオリティで。
曽我部さんが、サニーデイ・サービスというフォーマットを通じて、私たちに教えてくれたカルチャーのつながり。音楽を超えた、いや、時代をも軽やかに超えた、「文脈を読む楽しさ」を教えてもらった。

「文脈」を読むことには大変な手間がかかる。でもそれを自分なりにていねいにやってみた。
この効率化・スピード化が進んだ、いわゆる「便利な世の中」だからこそ、そんな手間ヒマをかけたものには、人をなにかしら動かす力があることも実感できた。

私のやっていることは、所詮、「半地下の趣味」なのかもしれない。ただ昨日、TURN harajukuに集まっていた数人は、確実に、その価値を共有できたと思っている。そんな小さな灯火を、次も楽しんで着火していければいい。

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2018-09-06 | Posted in 散文のようなもの, 音楽のことComments Closed 

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